○○の秋を謳歌する間もなく鍋を囲みたくなるような陽気だが、スポーツ界や音楽シーン、そしてデジタルの世界の進化の渦中にいると、世界に通用するパフォーマーの若年層化が目立つ。
大谷翔平選手(30)のような世代が世界を熱狂させる姿は、驚嘆とともに誇らしい気持ちになる。
代表選手級のモンスターは昭和の人間の尺度では計れないスピードで進化していて、まるで飼っている犬猫がいつの間にか自分よりも老成してしまうような感覚に陥る。

これに加えて、Gen AI(ジェネレーティブAI)が市民権を得ると、生身の人間が「ハルシネーションだ」「仕事が奪われるだ」「おら、ドバイ行くだ」と言っている間に、AIは次々と新しいモノコトを創り出し、社会の悩みすら瞬時に解決するようになり、丸腰の私はパラレルワールドのじゃないほうに取り残され、リアルな木枯らしに寂寥感を助長されるのである。

そんな感傷にimase(24)の音が心地よい。

彼の楽曲は「サビ」から作曲し、15秒から30秒の世界で勝負し、民衆にフックした要素を核として曲へ昇華させているという。このアプローチは、プロダクトアウトな大作志向とは異なり、まさにマーケットフィットなモノづくりの体現だ。DX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈でも往々にして語られる 「Think Big, Start Small」の思想にも通じる。とは言うものの、バイラルするようなスモールスタートができる人は現実にはそうそういない。

最近、「Go digital. But proceed with caution.(デジタルに進化せよ、ただし慎重に)」という啓示があった。いやいや、慎重に言われても何に気をつければいいねん、と面と向かっては言わなかったけれども、本質は「サビ(hook)」で人を引き込む瞬間をうまく捉えることですよね、imaseさん。
スモールとは単なるスケールの問題ではなく、瞬時に価値が伝わる「サビ」のようなもの。ストーリーでいえばクライマックス、ストアーでいえば目玉商品に相当する。

我々ブラウンリバースのサービス開発はまさに「サビ」を奏でるところから始まっている。

多くの人に共感を呼ぶポイント、最初に引っかかる「核」を創り出し、その後に広がる体験を構築する。従来の大規模設計に時間をかけるプロセスを超えて、まずはインパクトある小さな核を生み出し、そこから構築していくアプローチだ。脳内でリフレインされる「サビ」がバイラル的に広がっていくイメージで「Think Big, Start Hook」と言ったところか。

若年化するスーパーパフォーマーや進化するGen AIが投げかけるのは、スピードとインパクトで人を魅了する「核」の重要性。その核を持ちながら、さらに大きなビジョンを描き続けることこそが、時代に求められるモンスターカンパニーではないだろうか。
我々の「核」はブラウン(錆色)である、サビだけに・・・。それは単なる色ではなく、永続する価値の象徴として刻まれている。

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