イスラム圏の方々とビジネスをすることが多い日揮グループでは、ラマダンがごく身近にある。宗教行事として敬意を払って接してきたが、自分事として考えることはなかった。しかし、4カ月前に初めて3日間のファスティングを経て、その経験は新しい発見と体験としてアラフィフの身体と記憶に刻み込まれた。
もともと食事制限や運動をしてもなかなか落ちなかった体重が明らかに減少傾向に転じ、抜けない疲労感が薄れた。体内のどこぞかが浄化され、心身共に軽くなったのだ。この4カ月で、オムロンの体年齢は42歳から35歳まで若返った。
長年続けてきた食生活が、知らぬ間に「老廃物」のようなものを蓄積させ、本来の自浄作用を阻害していたのだろう。精神的にも浄化された私の思考は、仕事や技術の世界にも同じような事象があることに及ぶのである。
例えば、工学の世界におけるデジタルソリューション。デジタル化が進むにつれて、設計や解析にかかる時間は劇的に短縮され、高度な技術や機能の追求により、以前は工数と時間がかかった作業が数分で完了するようになった。しかし一方で、早くできることが増えた結果、検討項目が増大し、「やらないと前に進めない」という状況に陥ってエンジニアが疲弊している実情に気付いている人は意外に少ないのではないだろうか。
ファストデジタルツインの「ファスト」はファスティングの「ファスト」と語源を同じくする。
「fast」の本来の意味は「速い、ゆるぎない、確実な」である。そこから「制限する、自制する」に派生して絶食する、断食するに転じたのだろう。ファストフードにイメージされる、「安い、手軽な」といったニュアンスはない。
ファスティングは、一時的に食を制限することで体をリセットし、浄化する。この「制限」によって、結果的には体の動きを正常化し、免疫力の回復が期待できる。一方、ファストデジタルツインは、無駄な機能や過剰な設定を「制限」し、必要最小限に絞ることで、ツールそのものを軽やかにし、確実性を高めるという思想になる。「ゆるぎない基盤」を構築するという本来の意味に回帰する。
デジタルの進化により、答えを得るスピードは確かに向上した。しかしそのスピードを活かすには、不要なものを削ぎ落とすことを忘れてはならない。ファスティングが身体の浄化とパフォーマンスの回復をもたらすように、ファストデジタルツインは業務の浄化と再生をもたらす。これを通じて「ゆるぎない、確実な」基盤を築くことで、真のスピード感が得られると考える。
2025年のラマダンは2/28~3/29 だそうだ。これを機に、心身もしくは日常業務の浄化を狙った自己規律を課してみるのはどうだろうか。もちろん、弊社のファストデジタルツインを体感する、ということもファスティングの1つの選択肢として検討いただきたいという下心も付け加えておく。



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